出雲の稲佐の浜で、大国主神の前に建御雷之男神(タケミカヅチノオノカミ)ガ現れた。
建御雷之男神は、高天原にいる天照大御神と高御産巣日神から送りこまれた
三番目の使者である。
この建御雷之男神は、かなり強力な武神で
剣の柄を海面に刺して、刃の先に胡坐をかいて座り
大国主神に向かって言った
「地上は天照大御神と高御産巣日神の命で、高天原の御子が治めることになった。国を譲る気持ちはあるか?」と。
大国主神は、美保関の岬にいる事代主神(コトシロヌシノカミ)を呼んで意見をきいた。
事代主神は献上することを認めた。
しかし事代主神はそのあと、天の逆手を打ち
自分の船を転覆させて柴垣に変化させて
その中に隠れてしまった。
この事代主神の行動に関しては諸説あるのだが
天の逆手という方法は、呪術的な柏手のやり方で
本当は献上をしたくない事代主神が、柴垣に籠ることで
無言の抵抗をしたのではないか…という説もある。
大国主神と建御雷之男神が出雲の稲佐の浜で向き合って交渉しているところへ
大きな岩を指で弄びながら大国主神の子である建御名方神(タケミナカタノカミ)が現れた。
建御名方神は、献上に反対していた。
そこで建御名方神は、建御雷之男神よりも自分の方が強いと信じ
建御雷之男神に力比べを申し出た。
最初に建御名方神が建御雷之男神の手首をつかんだ
しかし建御雷之男神は、その腕を水に変化させて
その次に剣に変化させたので
建御名方神は恐ろしくなり手を放してしまった。
次は、建御雷之男神の攻撃の番となったが
建御名方神の手を握ったとたん簡単に握りつぶしてしまった。
負けを悟った建御名方神は逃走してしまった。
建御雷之男神は逃げた建御名方神を長野県の諏訪湖まで追い詰めて
建御名方神を殺そうとしたが
建御名方神は必死に命乞いをして
諏訪から生涯一歩も出ないことを誓って
地上の世界を献上することを約束した。
建御名方神を諏訪で祀っているのが諏訪大社である
この諏訪大社は全国で五千社の分社数を誇る神社となった。
その理由は
建御名方神は国譲りでは敗れてしまったが
平安時代には東国の武神として
鎌倉時代には北条氏が後ろ盾となり
武士の守護神として各地に勧請されることになったことによる。