涅槃の意味は?と問われたら
「死後のこと」と答える人が多いかもしれない
仏教以前の古代インド宗教では
涅槃のことを「死後」としているので
間違いではない
しかし、仏教の涅槃の本来の意味は
「完全な悟りの状態」である
涅槃を悟りと解釈をすると
同類後が数多く存在することが確認できる
その一部を抜粋してみよう
「解脱(げだつ)」「菩提(ぼだい)」「無為(むい)」「寂静(じゃくじょう)」「覚(かく)」「成道(じょうどう)」「無上正等覚(むじょうしょうとうがく)」
などである
その他に「成仏」「往生」などを加えることもできるだろう
これらは全て
「煩悩から完全に解放された真のやすらぎの境地」
「正しい智慧であらゆるものを見ることに目覚めた状態」
「完全なやすらぎ」
「ブッダとなる道を完成したこと」
などを意味する
そして涅槃には
「有余涅槃」と「無余涅槃」の二種類が存在する
日本では、涅槃を死後のこと…と解釈する人が多いのだが
この場合の意味を「悟り」と解釈すれば
生きているうちに涅槃を得る場合がある
しかし、肉体が存在している限り
完全なる煩悩の解放は難しく
悟りを開いたが肉体がある故に煩悩が残っている状態を「有余涅槃」と呼ぶ
これに対して肉体に煩悩が全く残っていない状態を「無余涅槃」と呼んでいる
肉体を所有していながらの、完全なる煩悩からの解放は不可能に近いと考え
「肉体からの解放=死」を持って無余涅槃を得られると解釈されているのである
このように「死後の涅槃」を「完全な悟りの完成」と解釈される場合が多いことから
「死後=涅槃」と解釈しているのかもしれない
日本に仏教が広まった当時の庶民は
そんな厳密な意味もインドの事情もわからないまま
「無余涅槃」が仏教の権威ある教えであると信じられて
「死ぬこと」がすなわち「涅槃」であるとストレートに解釈されてしまったようである
ここから日本人は、「涅槃に入ったものは仏である」
と、解釈し「死んだら仏様になる」との理論に飛躍していくことになる
本来、仏教においては
修行をし、悟りを開いた者が仏となるのだが
日本では、生前の行いの如何に関わらず
「死んだら仏様」…もしくは遺体そのものを「仏様」と呼んでいるのである
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