以前にも大乗仏教について書いたが
いま一度、おさらいしておく
簡単にいうと、自分だけじゃなく他人も救うことを目指すのが大乗仏教
「自利利他」(じりりた)行の実践である
この大乗仏教を語るにあたり欠かせないのが
「廻向」(えこう)という考え方である
インド古代仏教では、現世の行いが来世を決める「輪廻転生」の考え方があるのだが
この場合、自分の行いは自分に返ってくる…という原則がある
しかし「廻向」とは、自分の良い行いを他人に分け与えることができる考え方である
簡単に説明すると
地獄に行くしかないような悪人に対して
自分の余っている良い行いを分けてあげて
成仏させる…という、業報の鉄則を破った恩寵の宗教なのである
この大乗仏教の業の仕組みを銀行口座になぞらえて説明し、功徳を預金と考えると
1. 預金と借金は、幸福と不幸とに、つまり金額の多い・少ないに(量的に)対応する(=物理的必然性)
2. 預金も借金も持ち主だけのもので、他人には権利も責任もない(=自己責任性・自業自得)
3. しかし、自分の預金は、他人に融資できる(=方向の転換)
4. 預金は家や車などのものや精神的なものに転換できる(=内容の転換)
つまり3の方向の転換が「廻向」ということになる
預金が持ち主のものだけでも、他人のものでもないからこそ
自分の意志で自由に、他人にゆずることができるように
功徳も自分の意志で振り分ける…という考え方が大乗仏教といえる
因果応報の考えでは、自分の悪行(借金)が
自らの責任で地獄の苦しみを受けなければならなかったものが
大乗仏教では、みんな解消されてしまうことになる
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