仏教では、大きな川を挟んでこちら側の岸を「此岸」といい
むこう側を「彼岸」という
こちら側の世界は「俗世」であり迷いの世界である
むこう側の世界は悟りの世界「浄土」である
その大きな川を渡り、悟りの世界へ行くことを仏教では大きな目標とし
この世で修行を積むのである
人は「大乗」か「小乗」に乗り川を渡る
「大乗」と「小乗」とは
文字通り、「大きな乗物」と「小さな乗物」ということだが
小乗は一人しか乗れない小さな船と考えていいだろう
大乗は大きな船なので、多くの人を乗せることができる
その大きな船の船長が菩薩であると考えるとわかりやすいだろう
どちらにしても人が亡くなれば「彼岸」へ到達するのだが
何に乗って行くのかが大きな違いとなる
菩薩とは、自分だけ真理の追究を行なうのではなく
多くの迷える人々をも導き、真理を解き
誘導することも行なう崇高な魂であると言える
そしてその「菩薩」になるためには
六つの資格が必要である
その六つの実践科目が「六波羅蜜」である
「波羅蜜」は「波羅蜜多」とも書くが
この漢字に意味はなく
サンスクリット語の「パーラミター」の当て字である
パーラミターの元々の意味は「最高の状態」「究極理想の状態」と解釈されている
しかし中国や日本の仏教では伝統的にこれを
「彼岸へ到る行」や「さとりの世界へ到るための行」などと解釈されている
仏教で「六度」と言えば六波羅蜜のことである
その菩薩になるための条件である六波羅蜜は以下の六つである
1.「布施」…財施、法施、無畏施で、財産や物質を与えたり、真理の教えを説いたり、安心を与えること
2.「持戒」…戒律(ルール)を守ること
3.「忍辱」…苦難に耐え忍ぶこと
4.「精進」…たゆまず仏道を実践すること
5.「禅定」…精神を統一すること
6.「智慧(般若)」…真理を見極め、さとりを完成させること