古墳時代の研究は、考古学者にとって大変魅力的なものなのだろう
さまざまな制約を考慮したとしても
やはり考古学者の関心は、庶民の墓よりも、天皇や首長といった支配者の墳墓に向いているようだ
そのせいなのか、マスコミの報道のありかたなのだろうか
「庶民は墓を作っていない」という暗黙の刷り込みがなされているように思う
墓は、エライ人だけに許された特権のように…
民俗学者の中には
日本人は死体を「汚い」「怖い」ものと考えて、お墓を作らずに野山に捨てていたと考える人もいる
はたしてそうなのであろうか?
日本の歴史や、神話を紐解いてみても
日本人の死生観は、死者に対する尊敬と感謝で満ち溢れているようにも感じる
季節毎の行事で死者を祭り
身近な存在として、日頃の幸福を先祖に感謝し
自分の身の存在を先祖に投影することが自然に行なわれてきたようだ
この日本人の本来持っている
先祖に対する崇拝する気持ちが
「穢れ」のように解釈されてしまうのには、マスコミの報道の仕方にもひとつの原因があるように思われる
夏に行なわれる心霊特集
ホラーの漫画や映画などでスリルと恐怖心を味わうなど
死者に対して「汚い」「怖い」というイメージを刷り込ませてしまっているのではないか?
このように死者を冒涜し、ないがしろにすることは
自分自身の存在否定にもなりかねない
「怖い」存在から、本来の「尊ぶ」存在へと認識を変化させることで
日本人が本来持っている、人間の「和」の心が浮き彫りになってくるように思われる