日本の「家族制度」は、約300年以上に渡って
二種類の主義が存在している。
「長子家督法」と、「分割相続法」だ。
「長子家督法」とは、家の幹を太く強くしようとする考えで、家を継ぐもの(ほとんどがその家の長男)が特別の待遇を受け、家の力を保つ方法。
「分割相続法」とは、どの子にも幸せになってもらいたいと、ほぼ平等に相続させる方法である。
時代背景や、その土地柄、考え方によりどちらかを選択することになるのだが
やはり、双方共にメリット、デメリットが存在している。
現代の考え方からいくと「分割相続法」が良い選択のようにも思われるが
歴史の中では、一概にそうとも言えない時代もある。
戦国時代から江戸時代にかけて
軍隊を領主が自分の土地から召集する場合などには
家をしっかりと保つ「長子家督法」が適当であったと思われる。
家が一番弱る原因として、農作物の収量の減少が大きく
これでは多くの人を養うことができない
平等にしたのでは、みんな飢え死にしてしまうからだ
いざ召集しようとしたら、誰もいないでは話にならない
このように
家を継ぐもの以外の人間には辛抱してもらい
家を維持する必要があった時代もある
そう考えると
兵の召集の必要がない現代では
「長子家督法」のメリットがないように思われるが
それでも「長子家督法」を続ける地域がある背景には
・御先祖様に申し訳ない
・今までの慣わしを省くことで、なにかと噂になってしまう
と、いった原因が考えられる。
家が衰えかかった前触れではないかと噂されるのを避けるため
旧家や門閥(良い家柄)では、この分家の問題には慎重に考えざるを得ないのである。
- Newer: 隠居
- Older: 家の初代~御先祖になる~