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行方不明者の墓~一家族の決断~【6】

今から、2年ほど前から

私は弟の話をすると、喉に圧迫感を感じるようになった

 

ストレスなのか、霊的なものなのかはわからないが

誰かに弟の話をすると

喉に圧迫感を感じ、ひどい時は声が出なくなってきた

 

1年ほど前からは

喉の圧迫感と、倦怠感から

弟の話をしたあとは、少し休む必要があるほどになった

 

私は少しずつ弟の話をするのを控えるようになる

 

先々の戸籍の問題などを考えると不安になるので

あまり考えないようにもしていた

 

私は、両親に少しずつ

弟がこの世にはいないと感じることを話始めていた

両親も、20年という月日が流れ

この問題に、落ち着いて話をするようになってきている

 

「どうなんだろうね~」

と、親にしても

もしかしたら生きていないのかもしれない

と感じることもあったのではないかと思う

 

そして、私は様々なタイミングが重なり

弟の「死」を正式に引き受ける…

つまり供養したらどうだろう?と考え始めた

 

そのタイミングは、3つあった

1つは、祖母の死

1つは、私がお世話になっている、コンサルタントの先生が、先祖の存在を大切にされる方で、その方の指導を受けていたこと

1つは、ヒーリングを行う人が、弟の死を明言したこと

 

私は、ヒーリングの云々を理屈で理解することはできないが

その3つのタイミングが重なった時

弟を供養したらどうか?と心の奥底から湧き上がってきたのだ

 

供養することによって何が起るのかは、わからない

しかし、私達の-特に私の中で何かが変わるような気がしていた

 

-まずは、手を合わせ、お参りをする場所が欲しい-

 

20年以上も止まったままだった失踪問題に

初めてと言ってもいいくらい

何かが動き出した

 

私は勇気を出して親に電話をした

 

「仏壇までは買えないけど、供養の場を整えたい。弟の写真を送ってもらえないだろうか?」

 

この一言は、家族にとって

 

大きな大きな一歩となったのだ

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