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2015-06

日本酒とヤマタノオロチ

葦原中国に降り立ったスサノオは
ある老夫婦に出会った
その老夫婦は、悲しみにくれていた

スサノオがそのわけを聞くと
村に、ヤマタノオロチという怪物が現れて
そのヤマタノオロチに八人いた娘のうち七人が食い殺されてしまい
次は、最後の一人が食い殺される番なのだという

ヤマタノオロチは、八つの頭に八つの尾を持つ怪物なのだという

その話を聞いたスサノオは
八つの甕(かめ)を用意して、その中に酒を注いで待ち構えた
娘を食い殺そうと村にやってきたヤマタノオロチは、その酒を飲み
酔いつぶれて、その場で眠ってしまった

ヤマタノオロチが寝ている隙に
スサノオは十拳剣でヤマタノオロチを切り裂いた

この話は絵本にもなっているので
知っている人も多いだろう
この時の酒が最初に日本酒だと言われている

スサノオがヤマタノオロチに飲ませたこの酒は
「八藍折(やしおおり)」と呼ばれる酒で
一度成熟させたもろみを絞って
再度、麹と粥を入れて熟成させる手順を八回も繰り返して醸造したので
かなり強い日本酒だったと言われている

このことから、この古事記が編集された奈良時代には
すでに、日本酒の醸造方法が確立していたこといなる

「魏志倭人伝」にも、米を使った酒造りの様子が書かれていて
そこには「倭人は《人性嗜酒》で葬儀の際にも《歌舞飲酒》する」とあり
昔から日本人は酒好きであり
葬儀の席でも、酒を飲み、歌をうたい、踊りを舞っていたようだ

酒にまつわる話は15代応神天皇に関しても残っていて
応神天皇は古事記の中で酒を好んで飲んでいる話が多く書かれている

中でも有名なのが
酒を飲んだ帰りに杖を片手に大和から河内まで歩いていた時の話で
その杖で石を叩いたら、石が逃げ出したという話である
この話が由来となって
「堅石も酔人を避く」ということわざが現在も残っている
これは、酔っ払いには近づくな…という意味だ

日本人がこれだけ酒好きなので
当然、酒の神も存在する
オオクニヌシも、その1柱だといわれている

スサノオが残したもの

父であるイザナギに海原を治めるように言われたにも関わらず

スサノオは、その命令に背き 高天原で大暴れまでした

彼はいったい、何が気に入らなくて、そのような行動に出たのだろうか?

 

スサノオは、本当は天つ神ではなくて、出雲における地方神であったという史料が残っている

「古事記」では、イザナギから生まれた高貴な神として記されているが

「出雲国風土記」には、出雲に留まる強力な神とされている スサノオが母であるイザナミのいる黄泉国に行きたいと言っていたが スサノオは黄泉国とは言わずに「根之堅州国(ねのかたすくに)」と言っていたが どちら死者が行く国である

その死者への入り口は出雲にあった

母のいる場所へ行きたいのか、故郷に帰りたいのか…

スサノオは出雲の神だったようだが

あまりにも強大な力を持っていたので、朝廷にとっては邪魔な存在であったようだ

 

その強大な力を、古事記や日本書記では さも自分達の系統のように書いていると考えられている

 

その証拠に、葦原中国の出雲に降りたスサノオはおとなしいものだった

スサノオが暴れ出したのは、地方政権による中央政権への抵抗と考えられる

 

スサノオの後は、子孫にあたるオオクニヌシが引き継ぐが スサノオは根之国に隠居したあとも サポートをして助言する立場で出雲に存在感を示していた

 

高天原を追放されたスサノオは 葦原中国に降りた時、オオゲツヒメに出会う オオゲツヒメは、食物を司る神である

 

このオオゲツヒメもイザナミとイザナギの神生みによって生まれた

 

スサノオはおなかがすいていたので

オオゲツヒメに頼んでみたら

オオゲツヒメは、鼻や口や尻から、いろいろな食べ物を出した

しかし、スサノオはこの行為が汚らわしいとして

オオゲツヒメを切り殺してしまう

 

その亡骸の頭に蚕がなり

目には稲がなり、耳に粟がなり、鼻に小豆がなり、陰部に麦がなり、尻に大豆がなった

 

これを神産巣日神が取って種にして、世の中に広めた これが五穀の始まりである

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