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2013-07

封建的大家族の崩壊とライフスタイル

封建的大家族の崩壊は、戦後の日本の社会を大きく変えていった

戦後のシステムの変化が、封建的大家族を崩壊に導いた…と言った方が正しいのかもしれない

 

そのシステムの変化がお墓の変化にも大きく表れている

 

幕末から明治にかけての政治の変化

女性解放運動による運動

そして戦後の民主主義社会の確立

 

これらが連動して、封建的大家族が崩壊していった

 

家に縛られていると嘆いてきた女性たちは

自由を求め、政治への参加を求め、そして男女平等を訴えて

新しい女性の生き方を確立していき

生き方の選択肢が増えていき

結果的に自由を謳歌しているのだろうか…?と疑問も残る

 

フェミニズム運動に見られる

女性の家庭内における不自由さ

男性の封建的な態度に対して不満を爆発させて得た自由は

本当に女性を幸せにしたのだろうか?

 

封建的大家族の崩壊により

個々の考えが重視されるようになってくる

すなわちそれは、縦の先祖、子孫への繋がりを

あまり意識することのない生活への変化していく

 

大家族の場合は、その環境から

日常的にご先祖様への感謝を強制され

そのおかげもあり、日頃から自分の存在が繋がっていることを自然と意識することができるのである

 

しかし、その自由は女性を逆に縛り付けているようにも見える

自由を与えられたが、扱いきれていない

役割分担が昔ほどハッキリとしていないので

不満も起こりやすい

核家族化が進み、それぞれのルールで家庭生活を維持するので

問題も起きやすい

 

大家族は、代々その家それぞれのルールがあり

嫁に来たものは、その家のルールに従って生きていく

新しいライフスタイルの模索などは皆無である

 

現代の女性からみると、かなり窮屈なようにも見えるかもしれないが

本当に窮屈だったのだろうか?

 

大家族の家事、育児、家業の手伝い

姑や舅への気遣い

そして家を守ることへの責任

 

地縁、血縁の結束が強くなれば

必然的にお墓の日常度も増してくる

感謝や報告も増えてくる

そして、いずれは自分もその中に入る実感

子や孫達へ繋いでいくこと…

 

 

お墓が物理的に身近な存在であることは

その意味あいも大きく変化している

 

一件窮屈に見えがちな大家族制度だが

本質を今一度、見直す機会がきているようにも思える

 

お墓の無形化にみる効率と思考

その昔、家は長男が継ぎ

娘や、次男以下の息子たちは家を出て新しい家を作っていた

 

それが、経済成長と都市化が進むことで

長男も家から出ることになり

高齢となった親は老後の介護を求めて子どもの住む都市へと移動した

 

それに伴い、親が守っていたお墓も移動を余儀なくされていったのである

 

このように都市型共同墓所は

地縁、血縁による地域共同体からに人間の離脱、お墓からの離脱の中で

お墓の流動化や無縁化、個人化へと移行していったのである

 

人々が、地域からの強いつながりから離れて

個々に合った生き方を選択していく上で、お墓のありかたも変わっていったのである

 

個人の自由が叶えやすい世の中になったことで

人々は、地縁や血縁の繋がりやしがらみから脱却することになった

 

これは、物理的な脱却だけではなく

精神的にも脱却していくことになったのではないだろうか…

 

死後、人の世話になることを避け

散骨…という方法も生まれてきた

 

先祖の繋がりも、子孫への繋がりをも避けることは

すなわち、全てを自分の責任で完結させる…

人に迷惑をかけない…という考え方に繋がってきているように見受けられる

 

自分自身の体なのだから、死後の行く先も自分で決める

…ということは、自分の繋がりを否定する考え方にも見えてくる

 

 

昨今、自分の存在意義に疑問を持つ人が増えている一方で

その存在を自分の裁量でき決める考えが、当たり前のようになってきている

 

「限られた命だから、好きな物を食べて、好きなように生きていく」

 

そこには、仏教の輪廻転生も、因果応報の考えも排除され

死=無

という考え方

 

死んだら、何もかも終わりだから

好きに生きて何が悪い…という、単独的な考えが

物質科学至上主義の世の中では、当たり前になってきている

 

そもそも仏教の考えでは

肉体は借り物であり

死後は、その肉体を自然に戻さなければならない

それゆえに、「自分体は、自分の好きに使っていい」という考えには至らない

 

不徳が、子孫に影響を受けることを考えると

自分の代だけの問題ではなくなるので

その行いには細心の注意を払わなければならない

 

そのような考え方が基盤となり

地縁、血縁の絆が深まり

自分の代だけで物事の決着をつける考え方にはなっていなかった

 

このような、現代社会のライフスタイルの変化が

お墓や、地縁、血縁の考え方も変え

人生観を変えていっていることは否めないだろう

 

何が正しいのか…という議論はここでは控えるが

 

ライフスタイルの変化と思考の変化が

どのような結果になっているのかは冷静に考えていかなければならない問題である

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